今日のニュース 深堀り 2027年、介護保険はどう変わる?

70代の私たちが今から知っておきたい「介護のお金」

2026年9月8日

70代の今は元気でも、

「もし80歳を過ぎて介護が必要になったら、毎月いくらかかるのだろう?」

そんなことを考えたことはありませんか。

私自身、70代になって健康について考えることは増えました。

しかし、「介護にいくら必要なのか」と聞かれると、意外と分からないものです。

そんな中、厚生労働省では現在、2027年度の介護報酬改定に向けた議論が本格化しています。

9月3日の社会保障審議会・介護給付費分科会でも、

・認知症への対応
・医療と介護の連携
・人生の最終段階の医療・介護
・科学的介護
・口腔・栄養
・介護施設の多床室の室料負担

などが議論されました。

今回は、

2027年から介護はどう変わる可能性があるのか。
私たちが実際に支払う介護費はいくらなのか。
70代の今から何を準備しておけばいいのか。

「今日のニュース 深堀り」として考えてみたいと思います。


まず知っておきたい

2027年に「すべて決まっている」わけではありません

最初に大切なことを書いておきます。

現在行われているのは、2027年度の介護報酬改定に向けた議論です。

したがって、

「2027年から必ず介護費が○円上がる」

「全員が2割負担になる」

と決まったわけではありません。

ニュースでは「介護保険見直し」という言葉だけが大きく取り上げられることがあります。

しかし、

すでに決定したこと

これから議論されること

を分けて考える必要があります。


そもそも介護保険はいくら払うの?

65歳以上の人が介護保険サービスを利用すると、所得などに応じてサービス費の

1割・2割・3割

を自己負担します。

残りは介護保険から給付されます。

例えば、介護保険の対象となるサービス費が月10万円だったとします。

1割負担なら、

自己負担1万円

です。

2割なら2万円。

3割なら3万円です。

ただし、これだけで介護生活に必要なお金が全部分かるわけではありません。

ここが介護費の分かりにくいところです。


施設に入れば「食費・居住費」も必要

例えば介護施設に入所した場合、

介護サービスの自己負担とは別に、

食費
居住費
日常生活費

などが必要になります。

つまり、

「介護保険があるから老後の介護費は1割だけで済む」

と考えるのは正確ではありません。

特に施設介護では、

どの施設に入るか
個室か多床室か
所得はいくらか

などによって実際の負担は大きく変わります。


2027年改定で注目したい①

「多床室」の室料負担

9月3日の厚生労働省の会議で、具体的な議題の一つになったのが、

「多床室の室料負担」

です。

多床室とは、複数の入所者が同じ部屋を利用するタイプの部屋です。

一般的に個室より費用を抑えやすいため、

「できるだけ施設費を安くしたい」

という高齢者や家族にとって重要です。

しかし、施設の種類によって室料の扱いが異なっており、公平性などの観点から議論されています。

今後の結論によっては、施設を利用する高齢者の負担に関係してくる可能性があります。

ここは2027年度改定に向けて注目しておきたいところです。


注目したい②

認知症への対応

70代の私たちにとって、介護と切り離せないのが認知症です。

自分自身だけでなく、

夫や妻が認知症になったらどうするのか。

これは非常に現実的な問題です。

今回の介護報酬改定の議論でも、

「認知症への対応力強化」

が大きなテーマになっています。

認知症になっても、できるだけ住み慣れた地域で暮らし続けられるようにする。

そのために、

在宅介護
医療機関
介護施設
地域の支援

をどう結び付けるかが重要になります。


注目したい③

病院と介護施設がもっと連携する時代へ

高齢になると、

入院 → 退院 → 自宅療養 → 介護

という流れを経験する可能性があります。

ところが、

病院では治療が終わった。

でも自宅に帰って一人で生活するのは難しい。

介護施設を探してもすぐには入れない。

こうした問題があります。

2027年度改定に向けた議論では、

医療と介護の連携

も重要なテーマです。

70代以降では、

「病気を治す」

だけではなく、

「治療後にどう生活するか」

まで考える必要があるということでしょう。


注目したい④

介護職員が足りない

介護保険制度で私が特に心配なのは、人手不足です。

どれほど立派な制度を作っても、

実際に介護してくれる人がいなければサービスは受けられません。

厚生労働省でも2027年度改定に向け、

・介護人材の確保
・介護職員の処遇改善
・介護現場の生産性向上
・テクノロジーの活用

などについて議論しています。

これから高齢者が増える一方で、介護を担う現役世代は減っていきます。

介護職員の待遇改善は、単なる「介護業界の問題」ではありません。

将来、私たち自身が必要な介護を受けられるかどうか

という問題なのです。


「介護ロボット」「AI」が増えるかもしれない

これからの介護ではテクノロジーも重要になります。

例えば、

見守りセンサー
介護記録のデジタル化
移乗支援機器
AI
オンラインによる情報共有

などです。

「機械に介護されるのは嫌だ」

と感じる人もいるかもしれません。

しかし、人手不足が深刻になれば、

人間にしかできない介護は人間が行い、機械に任せられる作業は機械に任せる

という考え方が必要になるでしょう。

介護職員の負担を減らすことが、結果として私たちが受ける介護の質を守ることにつながる可能性があります。


では、実際に介護費はいくら準備すればいい?

これは一概には言えません。

介護費は、

在宅か施設か
要介護度
所得
住んでいる地域
施設の種類
個室か多床室か

などによって大きく違います。

例えば在宅介護なら、

介護保険サービスの自己負担
おむつなどの日用品
住宅改修
通院費
配食サービス

などが必要になる場合があります。

施設なら、

介護サービス自己負担
食費
居住費
日用品
理美容代

などが必要になります。

したがって、

「介護保険があるから貯金はいらない」

とは考えない方がよいでしょう。


介護費が高額になったら「上限」がある

一方で、安心材料もあります。

介護保険には、

高額介護サービス費

という仕組みがあります。

介護サービスの1割・2割・3割の自己負担が一定の上限を超えた場合、超過分が支給されます。

例えば一般的な市町村民税課税世帯では、現在の世帯上限は原則として月4万4,400円です。

所得の低い世帯では、さらに低い上限が設定されています。

逆に所得が高い世帯では、より高い上限になります。

ただし、

食費・居住費などは、この上限計算に含まれないものがあります。

「4万4,400円以上は絶対に払わなくてよい」という意味ではありません。


低所得なら食費・居住費を軽減できる場合も

介護施設やショートステイを利用する低所得者には、

「補足給付」

と呼ばれる仕組みがあります。

一定の所得・資産要件などを満たせば、施設での食費や居住費の負担を軽くできる場合があります。

これも重要です。

老後の介護費を考えるときには、

「施設は高いから無理」

と最初から諦めるのではなく、

自分がどんな軽減制度を利用できるのか

まで確認する必要があります。


夫婦の場合は「片方が介護状態」になったときを考える

私は70代になったら、ここを一度考えておくことが大切だと思います。

例えば夫婦二人で生活していて、

夫が要介護になった。

妻は元気。

この場合、

介護費だけでなく、

妻自身の生活費も必要です。

さらに介護が長期間続けば、

介護する側も高齢になっていきます。

いわゆる「老老介護」です。

だから介護費は、

「本人一人にいくらかかるか」

だけではなく、

「夫婦の生活全体を維持できるか」

という視点で考える必要があります。


一人暮らしならさらに準備が必要

高齢者の一人暮らしでは、

「介護してくれる家族が家にいる」

という前提がありません。

元気なうちから、

・誰に連絡するのか
・ケアマネジャーにどう相談するのか
・入院したとき誰が対応するのか
・施設に入る場合の費用をどうするのか
・財産や契約を誰に管理してもらうのか

などを考えておく必要があります。

介護は、

お金だけ準備すれば解決する問題ではない

ということです。


70代の今からやっておきたい5つのこと

① 自分の介護保険証を確認する

どこに置いてあるのか、一度確認しておきましょう。

② 地域包括支援センターを知っておく

介護について困ったときの身近な相談窓口です。

元気なうちに、自分の地域を担当するセンターを確認しておくと安心です。

③ 「在宅か施設か」を家族と話す

「できるだけ家で暮らしたい」

「子どもには介護の負担をかけたくない」

など、自分の希望を家族に伝えておくことが重要です。

④ 介護用のお金を別に考える

老後資金を、

生活費
医療費
介護費

に分けて考えてみる。

それだけでも将来のお金が見えやすくなります。

⑤ 2027年の介護保険改定を確認する

現在はまだ議論の途中です。

最終的に、

利用者負担はどうなるのか
施設費はどうなるのか
認知症への支援はどうなるのか
在宅介護はどう変わるのか

が決まった段階でもう一度確認する必要があります。


まとめ

「介護は80歳になってから考える」では遅い

70代では、

「まだ元気だから介護は関係ない」

と思うかもしれません。

しかし、私はむしろ、

元気な70代だからこそ考えられる

のだと思います。

介護が必要になってから、

施設を探す。

費用を調べる。

家族と相談する。

介護保険制度を勉強する。

これを全部同時に行うのは大変です。

2027年度の介護報酬改定に向けて、国ではすでに議論が進んでいます。

介護人材不足。

認知症。

医療と介護の連携。

施設の費用。

介護現場のデジタル化。

これらはすべて、

これから80代を迎える私たち自身の問題です。

介護保険制度がどう変わるかをニュースとして見るだけではなく、

「もし明日、自分や配偶者に介護が必要になったらどうするか」

を一度考えてみる。

そして、

どこで暮らしたいのか。
誰に相談するのか。
毎月いくらなら負担できるのか。
家族に何を伝えておくのか。

元気なうちに決めておく。

これが、2027年の介護保険改定を前に、70代の私たちが今からできる一番大切な準備ではないでしょうか。

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