今日のニュース 深堀り 70歳以上なら知らないと損?
【2026年版・保存版】
申請しないともらえないお金――高齢者が確認したい給付金・払い戻し制度10選

2026年9月7日
先日の「今日のニュース 深堀り」で、
「年金受給者に届く『大切なお知らせ』とは? 年金口座で160種類以上の給付金が受け取れるように」
という記事を書きました。
そこで、ふと疑問が浮かびました。
「160種類以上もあるのなら、70歳以上の私たちが実際に利用できる給付金は何なのだろう?」
調べてみると、年金、医療、介護、税金など、高齢者に関係する制度がいくつもあります。
しかし問題は、
制度を知らなければ、自分が対象になることにも気づきにくい
ということです。
今回は、70歳以上になったら一度は確認しておきたい「もらえるお金・戻ってくるお金・負担を軽くできる制度」を10項目に絞って整理します。
最初に知っておきたいこと
「160種類=誰でも160種類もらえる」ではない
デジタル庁によると、公金受取口座は年金、所得税の還付金、高額療養費など160種類を超える給付金等の受け取りに利用できます。
しかし、
公金受取口座を登録しただけで、160種類の給付金が自動的にもらえるわけではありません。
それぞれに受給条件があります。
また、申請が必要な制度もあれば、加入している保険や自治体から案内される制度もあります。
大切なのは、
「自分は何の制度の対象になる可能性があるのか」
を知っておくことです。
① 高額療養費
入院・手術で医療費が高くなったら必ず確認
重要度 ★★★★★
70歳以上なら、まず知っておきたい制度です。
1か月に医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担が、年齢や所得に応じて決められた上限を超えた場合、超えた部分が「高額療養費」として支給されます。
2026年8月から制度が見直され、月単位の自己負担上限に加えて、新たに年間上限も設けられました。
さらに、長期間にわたり高額な医療を受ける人には「多数回該当」という負担軽減の仕組みもあります。
つまり、
「病院で3割・2割・1割を払ったから、それで終わり」
とは限らないのです。
こんな人は確認
・入院した
・手術を受けた
・高額な治療を受けた
・毎月の医療費が高い
・長期間治療を続けている
問い合わせ先:加入している健康保険、後期高齢者医療制度など
② 年金生活者支援給付金
年金の少ない人には「上乗せ」がある
重要度 ★★★★★
所得が一定以下の年金生活者を支援するため、年金に上乗せして支給される制度です。
2026年度の老齢年金生活者支援給付金は、
月額5,620円を基準
として、国民年金保険料の納付済期間などによって金額が計算されます。
基準額で単純計算すると、
5,620円 × 12か月=年間6万7,440円
です。
年間約6万7,000円となれば、年金生活者には決して小さな金額ではありません。
ただし、誰でも5,620円もらえるわけではありません。
所得、世帯の住民税課税状況、保険料納付期間などの条件があります。
2026年度に新たに対象となる人には、日本年金機構から請求書が送られています。
こんな人は確認
・65歳以上で老齢基礎年金を受給
・年金収入が少ない
・世帯全員が市町村民税非課税
問い合わせ先:日本年金機構・年金事務所
③ 高額介護サービス費
介護費にも「自己負担の上限」がある
重要度 ★★★★★
医療費に高額療養費があるように、介護保険にも負担が大きくなり過ぎないための制度があります。
介護保険サービスを利用して、1か月の自己負担額が所得区分ごとの上限を超えた場合、超過した部分が「高額介護サービス費」として支給される仕組みです。
要介護度が上がると、
デイサービス
訪問介護
ショートステイ
施設サービス
などの利用が増える可能性があります。
70代では本人だけでなく、80代、90代の親の介護をしている人にも関係する制度です。
問い合わせ先:市区町村の介護保険担当窓口
④ 高額医療・高額介護合算制度
医療費と介護費を「合計」して負担を軽減
重要度 ★★★★★
これは意外に知られていない制度です。
例えば、
夫が病気で医療費が高い。
妻は要介護で介護サービスを利用している。
こうした家庭では、医療費と介護費の両方が家計を圧迫します。
そこで、同じ世帯の医療保険と介護保険の自己負担を年間で合計し、所得などに応じた限度額を超えた場合に、その超過分が支給される仕組みがあります。
医療と介護を別々に考えるのではなく、
「世帯全体で年間いくら払ったか」
を見る制度です。
こんな家庭は確認
・夫婦とも医療機関にかかることが多い
・夫婦のどちらかが要介護
・医療費と介護費の両方が高い
問い合わせ先:医療保険者・市区町村の介護保険窓口
⑤ 介護保険の住宅改修費
手すりや段差解消に介護保険が使える場合がある
重要度 ★★★★☆
高齢になると、
「玄関の段差が怖い」
「風呂場で転びそう」
「階段に手すりが欲しい」
といった問題が出てきます。
要介護・要支援認定を受けている人が、一定の条件を満たして自宅を改修する場合、介護保険から住宅改修費の支給を受けられる場合があります。
対象になる代表例は、
・手すりの取り付け
・段差の解消
・滑りにくい床材への変更
・引き戸などへの扉の交換
・洋式便器への取り替え
などです。
ここで重要なのは、
工事を始める前に市区町村への事前申請が原則必要
ということです。
「工事してから申請すればいい」と思い込まないよう注意が必要です。
問い合わせ先:ケアマネジャー・市区町村介護保険窓口
⑥ 福祉用具購入費
ポータブルトイレや入浴用品なども対象になる場合がある
重要度 ★★★★☆
介護が必要になったときには、福祉用具が必要になります。
介護保険では、貸与になじまない一定の福祉用具について、購入費の支給制度があります。
例えば、
・腰掛便座
・入浴補助用具
・簡易浴槽
などです。
ただし、何でも購入すれば介護保険が使えるわけではありません。
対象品目や購入先などに条件があります。
「先に自分で買ってしまう」のではなく、ケアマネジャーなどに確認してから購入する
ことが大切です。
⑦ 医療費控除による所得税の還付
病院代が多かった年は確定申告を確認
重要度 ★★★★★
これは給付金ではありませんが、
払い過ぎた税金が戻ってくる可能性がある制度
として重要です。
1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、医療費控除を利用することで所得税が還付される場合があります。
本人だけでなく、生計を一にする配偶者や家族のために支払った医療費も対象になり得ます。
年金生活者でも、所得税を納めている人なら確認する価値があります。
また、公金受取口座を登録済みなら、確定申告の際に所得税の還付金の受取口座として利用できます。
こんな人は確認
・入院した
・歯科治療が多かった
・夫婦の医療費が多かった
・年間を通して通院が多かった
問い合わせ先:税務署・国税庁
⑧ 障害年金
高齢者でも条件によって関係する場合がある
重要度 該当者は★★★★★
障害年金は、
「若い人が事故などで障害を負ったときの年金」
と思われがちですが、それだけではありません。
病気やけがによって一定の障害状態になり、初診日や保険料納付などの要件を満たせば対象になる場合があります。
ただし、障害年金は初診日がいつだったかなどが非常に重要で、老齢年金との関係も複雑です。
70歳になってから病気になれば誰でも請求できるという制度ではありません。
自分で判断せず、年金事務所などに相談することが重要です。
⑨ 遺族年金
配偶者が亡くなったら年金はどうなる?
重要度 ★★★★★
70代夫婦にとって非常に重要なのが遺族年金です。
夫婦二人で年金を受け取っていても、一方が亡くなれば、それまでと同じ世帯年金額が続くわけではありません。
亡くなった人の年金加入歴や、残された配偶者の年金などによって、遺族厚生年金などを受けられる場合があります。
特に、
「夫が亡くなったら、妻の年金はいくらになるのか」
は元気なうちに確認しておきたい問題です。
遺族年金は、死亡届を市役所に出しただけですべての年金手続きが完了するとは限りません。
問い合わせ先:日本年金機構・年金事務所
⑩ 災害時の給付金・支援金
地震・豪雨・台風で被災したとき
重要度 ★★★★☆
日本では毎年のように、
地震
台風
線状降水帯
豪雨
土砂災害
が発生しています。
大きな災害で住宅が全壊・大規模半壊するなど一定の条件を満たした場合には、被災者生活再建支援制度などの支援を受けられる可能性があります。
また、自治体独自の見舞金や支援制度が設けられる場合もあります。
公金受取口座は、こうした災害・緊急時の給付金を迅速に受け取るためにも活用が想定されています。
災害が起きてから、
「どんな制度があるのだろう」
と一から調べるのは大変です。
制度の存在だけでも知っておきたいものです。
70歳以上なら、まずこの5つを確認したい
10制度を紹介しましたが、全部を覚える必要はありません。
私なら、70歳を過ぎたら特に次の5つを覚えておきます。
医療費が高くなった
→ 高額療養費
年金が少ない
→ 年金生活者支援給付金
介護費が高くなった
→ 高額介護サービス費
医療費と介護費の両方が高い
→ 高額医療・高額介護合算制度
1年間の医療費が多かった
→ 医療費控除
この5つだけでも知っているのと知らないのでは、大きな違いが出る可能性があります。
「申請しないともらえない」とは限らない
でも、自分から確認することが大切
ここは今回の記事で最も注意したいところです。
制度によって、
・自分から申請する
・自治体や保険者から申請書が届く
・一度申請すると次回以降は自動的に支給される
・加入している保険によって手続きが違う
など仕組みが異なります。
したがって、
「すべて申請しなければ1円ももらえない」
というわけではありません。
しかし、
制度そのものを知らなければ、自分が対象なのか確認することさえできません。
これが一番の問題だと思います。
公金受取口座を登録すれば自動でもらえる?
これも違います。
公金受取口座は、
「給付金をもらう資格を得る制度」ではありません。
対象となる給付金等を申請するときに、銀行名や口座番号を書いたり、通帳のコピーを添付したりする手間を減らすための制度です。
デジタル庁によると、公金受取口座は年金、高額療養費、所得税の還付金など160種類を超える給付金等に利用できます。
つまり、
給付金の制度と、公金受取口座は別物
と覚えておくと分かりやすいでしょう。
「市役所に聞く」という方法もある
インターネットで制度を調べても、
「自分が対象なのか分からない」
ということがあります。
特に高齢者向け制度は、
年齢
所得
住民税
世帯構成
医療保険
要介護度
住んでいる自治体
などによって条件が変わります。
そんなときは、
市役所の高齢福祉・介護保険・国民健康保険・後期高齢者医療などの窓口に相談する
という方法があります。
年金なら年金事務所、税金なら税務署です。
「こんな制度を使えるでしょうか?」
と聞くだけでも構いません。
家族にも知っておいてほしい
70代のうちは、自分で役所へ行ったり書類を書いたりできる人も多いでしょう。
しかし80代、90代になったらどうでしょうか。
入院した。
介護が必要になった。
配偶者が亡くなった。
認知機能が低下した。
そんなときに複雑な制度を一から調べるのは大変です。
だからこそ、
本人だけでなく、子どもなど家族にも「こういう制度がある」と知っておいてもらう。
これも大切な老後準備ではないでしょうか。
まとめ
「知らなかった」で終わらせないために
70歳を過ぎると、
「どうやってお金を増やすか」
だけではなく、
「本来受けられる制度をきちんと利用する」
ことも重要になってきます。
医療費が高くなったら、高額療養費。
介護費が高くなったら、高額介護サービス費。
医療と介護の両方が高くなったら、高額医療・高額介護合算制度。
年金収入が少なければ、年金生活者支援給付金。
医療費を多く払った年には、医療費控除。
配偶者が亡くなれば、遺族年金を確認する。
介護のため自宅を改修するなら、工事を始める前に介護保険の住宅改修制度を確認する。
これらは決して、
「特別な人だけが使う制度」
ではありません。
長く生きていれば、誰にでも関係する可能性があります。
そして2026年8月からは、年金受給者が現在の年金振込口座を公金受取口座として登録しやすくする新しい仕組みも始まりました。
行政から受け取れるお金について、
「知らなかったから利用できなかった」
ということだけは避けたいものです。
70歳を過ぎたら、
貯金通帳を見るだけでなく、「自分が利用できる公的制度」を年に一度確認する。
これも、これからの時代の大切な老後のお金の管理ではないでしょうか。
【保存版】困ったときの確認先
年金が少ない・遺族年金・障害年金
→ 日本年金機構・年金事務所
医療費が高い
→ 加入している健康保険・後期高齢者医療制度
介護費・住宅改修・福祉用具
→ 市区町村の介護保険窓口・ケアマネジャー
医療費控除・税金の還付
→ 税務署・国税庁
災害で被害を受けた
→ 市区町村の窓口
制度の条件や金額は改正されることがあります。実際に申請するときには、必ず日本年金機構、厚生労働省、国税庁、自治体などの最新情報を確認してください。
