今日のニュース 深掘り 2027年、介護保険がまた変わる?

人手不足・介護報酬・私たちの負担はどうなる

2026年9月19日

「介護が必要になったとき、本当にサービスを受けられるのだろうか?」

70代になると、介護保険は「いつかの話」ではなくなってきます。

自分自身だけではありません。

配偶者の介護。

兄弟姉妹の介護。

さらに子どもたちへ負担をかけないためにも、介護制度がこれからどうなるのかは気になるところです。

そんな中、2027年度に介護報酬の定例改定が予定されています。

厚生労働省ではすでに、

介護職員の賃金
人手不足
介護事業者の経営
利用者負担
介護保険料

などについて議論が始まっています。

今回は、

「2027年に介護保険はどう変わる可能性があるのか」

を、今分かっている範囲で整理してみます。


そもそも「介護報酬」とは何だろう?

まず「介護報酬」という言葉が少し分かりにくいと思います。

簡単に言えば、

介護サービスを提供した事業者へ支払われる公定価格

です。

例えば、

訪問介護
デイサービス
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設

などを利用すると、事業者は介護サービスの対価を受け取ります。

その価格を国が決めています。

これが介護報酬です。

ですから介護報酬が低すぎると、

「職員の給料を上げられない」

「電気代や食材費が上がって経営が苦しい」

「人が集まらない」

という問題が起こります。

しかし介護報酬を大幅に引き上げれば、今度は介護保険財政への負担が増えます。

ここが非常に難しいところです。


実は2026年度にも臨時の改定をしている

ここは今回のニュースを理解する重要なポイントです。

通常、介護報酬は3年に一度の改定です。

ところが介護現場では、人手不足と物価高への対応が急務になりました。

そのため政府は、2027年度の定例改定を待たずに2026年度に臨時の介護報酬改定を実施しました。

改定率は、

プラス2.03%。

厚労省によれば、介護従事者について月1万円、介護職員については定期昇給込みで月最大1万9,000円の賃上げが可能となる水準とされました。

それでも2027年度には、改めて定例の介護報酬改定を行います。

つまり、

2026年度 緊急対応

2027年度 本格的な定例改定

という流れになっています。

それだけ介護現場の状況が厳しいということです。


最大の問題は「介護する人が足りない」

介護制度の将来を考えるとき、最大の問題の一つが人手不足です。

厚生労働省の推計では、介護職員は2022年度に約215万人でした。

ところが必要とされる人数は、

2026年度 約240万人

さらに、

2040年度 約272万人

です。

2022年度と比べると、2040年度には約57万人多く必要になる計算です。

高齢者が増えれば、当然、介護を必要とする人も増えていきます。

しかし働く世代は減っていきます。

つまり日本は、

「介護される人は増える。しかし介護する人は足りない」

という難しい問題に直面しています。


お金があっても介護を受けられない?

私は、ここがこれから非常に大きな問題になると思います。

これまで老後の心配というと、

「介護費用を払えるだろうか」

というお金の問題が中心でした。

しかしこれからは、

「お金を払えても、近くに介護してくれる人がいない」

という問題が起こる可能性があります。

特に地方では深刻です。

訪問介護を頼みたい。

ところがヘルパーがいない。

デイサービスへ行きたい。

ところが施設が閉鎖した。

介護施設へ入りたい。

ところが職員不足で受け入れられない。

そうなれば介護保険証を持っていても、十分なサービスを受けられません。

介護制度で本当に重要なのは、

「制度があること」ではなく、「実際にサービスを受けられること」

なのです。


だから介護職員の給料を上げる必要がある

人手不足を解決するには、働く人を増やさなければなりません。

そのために重要なのが、

賃金です。

介護は身体的にも精神的にも負担の大きな仕事です。

それなのに他産業より待遇面で魅力がなければ、人材は別の仕事へ流れてしまいます。

厚労省も2027年度の介護報酬改定に向け、

賃上げ
経営の安定
離職防止
人材確保

が必要だと明言しています。

介護職員の給料を上げることは、単なる「介護職員だけの問題」ではありません。

将来、私たち自身が介護を受けられるかどうかに直結しています。


では、そのお金を誰が払うのか?

ここから難しくなります。

介護職員の給料を上げたい。

介護事業所も維持したい。

物価高にも対応したい。

しかし、そのためにはお金が必要です。

介護保険は大きく、

保険料
公費(税金)
利用者負担

によって支えられています。

つまり介護サービスへ使うお金が増えれば、最終的には、

保険料をどうするのか。

税金をどうするのか。

利用者にどこまで負担してもらうのか。

という議論を避けられません。


「2割負担」が大きな論点になる

現在、介護サービスの自己負担は所得などに応じて原則1割、一部の人は2割または3割です。

今後の制度改正で注目したいのが、

「2割負担になる人の判断基準」

です。

厚労省は、この判断基準について第10期介護保険事業計画が始まる前までに結論を得る方針を示しています。

第10期は2027~2029年度です。

そして9月18日の上野厚生労働大臣の会見でも、介護保険の2割負担の判断基準について、関係審議会で議論し丁寧に検討するとしています。

ここは誤解してはいけません。

「2027年から2割負担の人が必ず増える」と決定したわけではありません。

現在は検討段階です。

しかし70代以上の人にとって、今後ぜひ注目しておきたい問題です。


65歳以上の介護保険料も議論へ

もう一つ直接関係するのが介護保険料です。

65歳以上が支払う介護保険料を、

第1号保険料

といいます。

9月18日に開かれた厚労省の社会保障審議会・介護保険部会では、

「第1号保険料の在り方」

そのものが議題になりました。

さらに、

「持続可能性の確保(給付と負担)」

についても議論されています。

つまり2027年度へ向けて、

「誰が、どの程度負担するのか」

という問題が本格的に検討され始めています。


「介護職員の給料を上げる」と「高齢者の負担を抑える」

ここに介護保険最大の難問があります。

私たち利用者から見れば、

介護保険料は安い方がいい。
自己負担も少ない方がいい。

これは当然です。

一方、介護職員から見れば、

もっと給料を上げてほしい。

介護事業者から見れば、

物価高に対応できる報酬が必要だ。

国から見れば、

介護保険制度を将来まで維持しなければならない。

どれも間違っていません。

だから2027年度改定では、

「誰か一人だけが得をする制度」ではなく、どこでバランスを取るのか

が大きな課題になります。


AIや介護ロボットも必要になる

人手不足を賃金だけで解決するのは難しいでしょう。

そこで重要になるのが、

介護ロボット
見守りセンサー
AI
ICT
介護記録の自動化

などです。

例えば介護職員が毎日長時間かけて記録している仕事をAIが補助する。

夜間の見守りをセンサーが手伝う。

移乗を介護ロボットが補助する。

こうした技術を使えば、

人間にしかできない介護へ、職員がより多くの時間を使える

可能性があります。

厚労省でも2027年度介護報酬改定に向け、「介護現場の生産性向上等の推進」を正式な検討テーマにしています。

これからの介護は、

「人かAIか」ではなく、「人+AI・ロボット」

になっていくのではないでしょうか。


外国人介護人材もさらに重要になる

もう一つ避けて通れないのが外国人材です。

日本だけで介護人材を確保することが難しくなれば、海外から働きに来てもらう必要性も高まります。

厚労省も介護人材確保策として、

外国人材の受け入れ環境整備

を掲げています。

ただし単に人数を増やせばよいわけではありません。

日本語教育。

介護技術。

住居。

職場での支援。

長く日本で働ける環境。

こうした仕組みまで整えなければなりません。


2040年には介護職員272万人が必要

2027年の改定だけを見ていてはいけません。

本当の問題はその先です。

厚労省の推計では2040年度に必要な介護職員は、

約272万人。

2022年度の約215万人から、

約57万人増やす必要があります。

しかし日本全体では働く世代が減っていきます。

介護だけ57万人増やせばよい、という簡単な話ではありません。

医療。

物流。

建設。

小売。

観光。

あらゆる産業が人を必要としています。

介護は他の産業とも人材を取り合うことになります。

だから介護職の待遇改善は避けて通れないのです。


70代の私たちは今から何をしておけばいい?

2027年度の制度がまだ決まっていない段階で、慌てる必要はありません。

ただし、今からできる準備はあります。

まず、

自分の介護保険料が現在いくらなのか確認する。

次に、

介護サービスを利用した場合、自分は1割・2割・3割のどれに該当するのか知っておく。

そして、

自宅の近くにどんな介護サービスがあるのか調べておく。

地域包括支援センターがどこにあるのかも確認しておくと安心です。

さらに家族とも、

「介護が必要になったら自宅で暮らしたいのか」

「施設も選択肢にするのか」

という話を元気なうちにしておく。

介護は必要になってから慌てて調べるより、

元気な70代のうちに少し知っておく方がずっと楽です。


私が一番気になるのは「料金」より「人」

今回のニュースを調べていて、私は一つ気になることがあります。

もちろん介護保険料や自己負担が上がるかどうかは重要です。

しかし、それ以上に心配なのは、

「介護してくれる人が本当にいるのか」

ということです。

制度があっても人がいなければ、介護はできません。

2040年に向けて高齢者が増える一方、働く人は減っていきます。

これからの介護問題は、

「介護にいくら払うのか」から「介護そのものをどう残すのか」

へ変わっていくのではないでしょうか。


まとめ――2027年は「負担増」だけを見てはいけない

2027年度、介護報酬の定例改定が行われます。

現在議論されているのは、

介護職員の賃上げ。

介護事業者の経営安定。

人材確保。

生産性向上。

そして介護保険料や利用者負担など、制度をどう持続させるかという問題です。

ニュースでは今後、

「高齢者の負担増」

という見出しが出てくるかもしれません。

もちろん負担が増えるかどうかは重要です。

しかし、その数字だけを見るのではなく、

なぜ見直しが必要なのか。

その先に、

「10年後、20年後も必要なときに介護を受けられる社会を残せるのか」

という問題があることも考える必要があります。

2027年の介護保険改正。

これは単なる保険料や自己負担の話ではありません。

私たちが80代、90代になったとき、誰が介護をしてくれるのか。

そこまで考えて見ていきたいニュースです。

※ この記事の数字は厚労省の最新資料で確認しています。2026年度の臨時改定は**+2.03%**、2027年度は定例改定が予定されています。上野厚労相も9月18日、物価・賃金上昇を反映し、賃上げ、経営安定、離職防止、人材確保を図る必要があると説明しました。

※ また、介護職員の必要数は2022年度約215万人に対し、2026年度約240万人、2040年度約272万人と推計されています。 2割負担の判断基準についてはまだ結論が出ていません。厚労相は9月18日時点でも「丁寧に検討」としているため、記事でも「決定」と書かないようにしました。

厚生労働省・9月18日の上野厚労相会見
厚生労働省・介護職員の必要数
厚生労働省・介護保険部会(9月18日)


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