今日のニュース 深掘り 「分電盤を無料点検します」に注意!
70歳以上が被害の8割超! 急増する点検商法の手口とは

2026年9月17日
「電力会社の者です。分電盤の無料点検に伺います」
こんな電話がかかってきたら、あなたならどうしますか。
「電力会社なら大丈夫だろう」
「無料なら一度見てもらおう」
そう思ってしまうかもしれません。
しかし今、この「分電盤の点検」をきっかけにした消費者トラブルが急増しています。
しかも、被害に遭っている人の中心は高齢者です。
国民生活センターが2026年9月16日に発表した最新情報によると、2025年度に寄せられた分電盤の点検商法に関する相談は、
6,545件
でした。
2024年度は1,290件です。
わずか1年間で、
約5倍
に増えました。
さらに驚くのは、2025年度の契約当事者を年代別に見ると、
70歳以上が8割を超えている
ことです。
これは70代、80代の私たちにとって、他人事ではありません。
そもそも「分電盤」とは何?
「分電盤と言われても、どれのこと?」
という人もいるでしょう。
家の玄関、廊下、洗面所などの上の方に、
いくつものブレーカーが並んだ箱
がありませんか。
それが分電盤です。
家の中へ入ってきた電気を、それぞれの部屋や設備へ分ける重要な設備です。
電気を使い過ぎたり、異常が起きたりしたときにブレーカーが働くなど、家庭の電気の安全に関係しています。
つまり、
「電気」「漏電」「火事」
という言葉を出されると、誰でも不安になります。
そこを利用するのが今回の点検商法です。
実際にあった70代女性のケース
国民生活センターは、実際の相談事例を紹介しています。
70代の女性に電話がかかってきました。
業者は、
「電力会社の者ですが、分電盤の点検に伺います」
という趣旨の説明をしました。
女性は、
「電力会社の法定点検なのだろう」
と思い、訪問を了承しました。
業者が自宅へ来て分電盤を点検すると、
「分電盤の耐用年数は法律で15年と決まっている」
「漏電したら大変なことになる」
などと説明されました。
不安になった女性は、
約14万円
の分電盤交換工事を契約しました。
ところが業者が帰ったあと、家族に相談します。
家族から、
「本当に電力会社の点検だったの?」
と言われ、契約している電力会社へ確認しました。
すると、
電力会社とは関係のない業者
だったことが分かったのです。
「無料点検」が入口になる
この手口の怖いところは、最初から、
「14万円の工事をしてください」
とは言わないことです。
まず、
「無料で点検します」
と言います。
無料なら、
「見るだけならいいか」
と思ってしまいます。
家に入れてしまうと、今度は専門家のような立場から、
「かなり古くなっています」
「危険です」
「漏電するかもしれません」
「火事になったら大変ですよ」
「早く交換した方がいい」
などと言われる。
電気の専門知識がなければ、
「そうなのかな」
と思ってしまいます。
これが典型的な、
「点検商法」
です。
「電力会社です」だけでは信用しない
今回、特に覚えておきたいポイントです。
業者から、
「電力会社です」
「電力会社から依頼されています」
「市役所から依頼されています」
と言われても、それだけで信用しないことです。
国民生活センターには、
「電力会社を名乗る業者だった」
「市役所から依頼されたと言われた」
という相談も寄せられています。
名前を聞いたことのある会社や行政機関を出されると、人は安心してしまいます。
しかし、
相手が名乗っただけでは、本物かどうか分かりません。
電話番号も相手から教えられたものを、そのまま信用しない方が安全です。
いったん電話を切り、自分で公式の連絡先を調べて確認しましょう。
本当の法定点検との違いは?
ここは非常に重要です。
電気設備には、法律に基づいて行われる本当の点検があります。
ですから、
「電気の点検です」
という言葉そのものがすべて詐欺というわけではありません。
しかし国民生活センターは、
法定点検のあとに、調査員が分電盤交換工事の契約を持ち掛けることはない
と注意喚起しています。
つまり、
「点検します」→「危険です」→「今すぐ交換契約してください」
という流れになったら、一度疑った方がよいでしょう。
「法律で15年」と言われたら?
今回の事例では、
「分電盤の耐用年数は法律で15年と決まっている」
と言われています。
専門家から「法律で決まっています」と言われると、
「交換しなければ違法なのか」
と思ってしまいます。
しかし国民生活センターは、このような説明を受けて契約した事例を注意喚起の対象として紹介しています。
「法律で決まっている」
「交換しないと危険」
「今日契約すれば安くなる」
などと言われても、
その場で契約しない。
これが大切です。
本当に交換が必要なのか、信頼できる電気工事業者などへ改めて確認すればよいのです。
相談件数はどれくらい増えた?
国民生活センターのデータを見ると、増え方の異常さがよく分かります。
2022年度 14件
2023年度 39件
2024年度 1,290件
2025年度 6,545件
そして2026年度も、7月31日までですでに、
2,223件
が登録されています。
数年前には数十件だった相談が、今では年間数千件規模になっています。
しかも2024年度には南関東で目立っていた相談が、2025年度には北関東や九州北部など各地へ広がっています。
「自分の地域は大丈夫」
とは考えない方がよさそうです。
なぜ70歳以上が狙われやすいのか
70代、80代になると、自宅にいる時間が長くなる人も増えます。
訪問販売の業者にとっては、接触しやすくなります。
また、
「電気の安全」
「屋根が壊れている」
「給湯器が危険」
など、住宅設備について専門的なことを言われると、自分で判断するのは簡単ではありません。
さらに、
「火事になりますよ」
と言われれば、不安になります。
その不安な状態で、
「今日なら工事できます」
と言われると、その場で契約してしまうことがあります。
だから、
自分で判断できるかどうかではなく、「その場では契約しない」と最初から決めておく
ことが有効です。
70代が覚えておきたい「5つの対策」
① 突然の点検を簡単に受け入れない
「無料で点検します」
と言われても、
「お願いします」
とすぐ答えないことです。
まず、
会社名
担当者名
電話番号
なぜ自宅を点検するのか
を確認します。
② 家の中へ簡単に入れない
玄関先で話を聞くだけならまだしも、分電盤を見るためには業者を家の中へ入れることになります。
一度家へ入れると、
「ここが危ない」
「これも交換した方がいい」
と話が進んでしまうことがあります。
必要性を確認できるまでは、家の中へ入れない方が安全です。
③ 「電力会社です」と言われたら自分で確認する
相手から教えられた電話番号ではなく、
請求書や公式サイトなどで、
自分で電力会社の正式な連絡先を確認する。
そして、
「今日、分電盤の点検をする予定がありますか?」
と問い合わせます。
本物なら確認できるはずです。
④ その場で契約しない
これが最も重要です。
たとえ、
「危険です」
「漏電します」
「火事になります」
「今日なら安くできます」
と言われても、
「今日は契約しません。家族と相談します」
と伝えます。
本当に必要な工事なら、翌日になっても必要です。
その場で決める必要はありません。
⑤ 困ったら「188」へ電話する
覚えておきたい番号があります。
消費者ホットライン「188」
です。
「いやや」と覚えると簡単です。
188へ電話すると、地域の消費生活センターなどにつながります。
「契約してしまった」
「怪しい業者だったかもしれない」
という場合も、一人で悩まず相談しましょう。
契約してしまっても諦めない
「もう契約書にサインしてしまった」
「工事代金を払ってしまった」
という場合でも、すぐに諦めないでください。
訪問販売に該当する場合、原則として、
法律で定められた書面を受け取った日から8日以内
であれば、クーリング・オフできる場合があります。
書面だけでなく、一定の場合には電子メールなど電磁的方法でも手続きできます。
また8日を過ぎていても、事実と違う説明をされて契約した場合など、契約を取り消せる可能性があります。
「もう無理だろう」
と自己判断せず、まず188へ相談してください。
工事が終わっていたらどうなる?
ここも知っておきたいところです。
訪問販売で適法にクーリング・オフできる場合には、すでに工事が行われていたとしても、原則としてその工事代を支払う必要がない場合があります。
すでにお金を支払っていれば、返還を求められる場合もあります。
状況によって扱いが異なる可能性があるので、
工事が終わったから仕方ない
と諦めず、消費生活センターへ相談しましょう。
分電盤そのものの点検は必要
ここで一つ注意したいことがあります。
今回問題になっているのは、
分電盤の「点検商法」
です。
分電盤そのものが永久に使えるという意味ではありません。
電気設備は長期間使えば劣化することがあります。
本当に不具合がある場合には、専門業者による点検や交換が必要です。
だからこそ、
「点検は全部断る」
のではなく、
「誰に点検してもらうか」
が重要なのです。
自分から信頼できる電気工事業者などへ依頼する方法なら、突然の訪問業者に任せるより安心できます。
分電盤だけではない「無料点検」に注意
点検商法は分電盤だけではありません。
例えば、
屋根。
給湯器。
太陽光発電設備。
外壁。
水道。
排水管。
こうした住宅設備でも、
「無料で点検します」
という言葉から高額な契約につながることがあります。
消費者庁も、高齢者を中心に点検商法の相談が増えているとして注意を呼びかけています。
つまり今回の記事で覚えておきたいのは、
「無料点検」という言葉が出たら、一度立ち止まる
という習慣です。
玄関に貼っておきたい一言
70代、80代になると、
「業者を目の前にすると断りにくい」
ということがあります。
そこで、断る言葉をあらかじめ決めておくと楽です。
「私は一人では契約を決めません。家族に相談します」
これだけで十分です。
説明を続けられても、
「必要ならこちらから連絡します」
で終わらせます。
相手を説得する必要はありません。
家族にも伝えておこう
離れて暮らす高齢の親がいる人は、
「分電盤の無料点検という電話が増えているらしいよ」
と一言伝えておくだけでも違います。
そして、
知らない業者が来たら契約しない
家へ入れない
まず家族へ電話する
というルールを決めておくと安心です。
まとめ
「無料点検」は、その場で決めない
国民生活センターによると、分電盤の点検商法に関する相談は、
2024年度の1,290件から、
2025年度には、
6,545件
へ急増しました。
そして契約当事者の、
8割超が70歳以上
です。
これはまさに70代、80代が知っておくべきニュースです。
もし、
「分電盤を無料で点検します」
「電力会社から来ました」
「このままだと漏電します」
「火事になるかもしれません」
「今日なら安く交換できます」
と言われたら、
まず、
「今日は契約しません」
と言いましょう。
そして本当に点検が必要なのか、自分から電力会社や信頼できる専門業者へ確認する。
もし契約してしまったら、
消費者ホットライン「188」
へ相談する。
高齢者を狙った悪質商法は、手口を知っているだけでも防げる可能性があります。
この記事を読んだら、ぜひ家族や友人にも、
「分電盤の無料点検には気をつけて」
と伝えてください。
その一言が、大切な人の被害を防ぐかもしれません。
※ 今回の記事の数字と事例は、9月16日公表の国民生活センター資料で確認しました。相談件数は2022年度14件→2023年度39件→2024年度1,290件→2025年度6,545件と急増しています。
※ また、訪問販売の場合、法定書面を受け取った日から原則8日以内ならクーリング・オフが可能です。工事がすでに行われた場合についても、適法にクーリング・オフできれば役務の対価を支払う必要はないと消費者庁が説明しています。
