今日のニュース 深掘り 70代は家の中こそ危ない?

消費者庁が注意喚起――転倒から寝たきりを防ぐ7つの対策

2026年9月14日

「転ぶのは外を歩いているとき」

そんなイメージを持っていませんか。

私も、交通事故や道路の段差など、外出中の方が危ないように思っていました。

ところが高齢者にとって、注意しなければならない場所の一つが、

毎日暮らしている「自宅」です。

消費者庁は2026年9月11日、

「高齢者の家庭内での転倒事故に注意しましょう!」

という注意喚起を発表しました。

そこには、70代、80代の人が実際に自宅で転倒し、骨折や大けがをした事例が紹介されています。

「まだ普通に歩けるから大丈夫」

「自分の家だから、どこに何があるか分かっている」

そう思っている人にこそ、知ってほしいニュースです。


実際に起きた70代の事故

消費者庁が紹介している事例を見てみましょう。

70代の人が、

自宅の浴室で滑って転倒。

後頭部に8センチの切り傷を負い、救急要請となりました。

別の70代の人は、

家の中を歩いているとき、電気コードにつまずいて転倒。

右膝を骨折して入院しました。

さらに別の70代では、

ソファから立ち上がった瞬間にバランスを崩して転倒。

腰椎の圧迫骨折となりました。

80代では、

家から庭へ出るときの段差

につまずき、大腿骨を骨折した事例もあります。

どれも特別なことをしていたわけではありません。

お風呂に入る。

部屋を歩く。

ソファから立つ。

庭へ出る。

私たちが毎日行っている、ごく普通の動作なのです。


「転んだだけ」で済まないのが70代

若い頃なら、

「転んだけれど、少し打っただけ」

で済むことがあります。

しかし年齢を重ねると状況が変わります。

筋力やバランス能力が低下し、とっさに手をついたり、踏ん張ったりすることが難しくなります。

骨も弱くなっている場合があります。

そのため転倒が、

大腿骨骨折
腰椎圧迫骨折
手首の骨折
頭部外傷

などの大きなけがにつながる可能性があります。

そして高齢者で怖いのは、

転倒 → 骨折 → 入院 → 動かない → 筋力低下

という流れです。

けがそのものが治っても、以前のように歩けなくなれば生活は大きく変わります。

だからこそ、

「転んでから治療する」のではなく、「最初の一回を防ぐ」

という考え方が重要になります。


なぜ70代になると小さな段差でも転ぶのか

「こんなところで、なぜ転んだのだろう」

と思うことがあります。

実は、年齢とともに歩き方も少しずつ変化します。

筋力が低下すると足が以前ほど上がらなくなり、

「すり足」

になりやすくなります。

すると若い頃なら何でもなかった、

1~2センチ程度の段差

でも足先が引っかかることがあります。

敷居。

カーペットの端。

電気コード。

玄関のわずかな段差。

こうしたものが転倒のきっかけになります。

つまり、

家が突然危険になったのではなく、自分の身体の変化によって、以前は安全だった場所が危険になる

ということなのです。


まず家の中を見渡してみよう

この記事を読んだあと、一度家の中を歩いてみてください。

ただし、

「いつもの家」ではなく、「転倒する場所を探す」

という目で見ます。

すると意外なものが見えてきます。

床を横切る延長コード。

少しめくれたカーペット。

新聞や雑誌。

玄関の段差。

暗い廊下。

滑りやすい浴室。

ぐらつくスリッパ。

これらはすべて、転倒の原因になり得ます。

そこで、今日からできる7つの対策を考えてみましょう。


対策①

床に物を置かない

一番簡単で、お金もかからない対策です。

新聞。

雑誌。

買い物袋。

段ボール。

座布団。

掃除道具。

床に物があると、足を引っかける可能性があります。

特に注意したいのが、

夜中にトイレへ行く通り道

です。

昼間なら見えている物も、夜は見えません。

寝室からトイレまでの通路には、できるだけ物を置かない。

これだけでも転倒リスクを減らせます。


対策②

電気コードを歩く場所に置かない

消費者庁が紹介した事故では、70代の人が、

コードにつまずいて膝を骨折し、入院

しています。

テレビ。

扇風機。

電気ストーブ。

スマートフォンの充電器。

延長コード。

現代の家にはコードがたくさんあります。

コードは壁際にまとめ、

人が歩く動線を横切らない

ようにしましょう。

特に延長コードを部屋の中央に這わせている場合は、一度配置を見直してみてください。


対策③

浴室と脱衣所を重点的に確認する

浴室は高齢者にとって危険な場所です。

水。

石けん。

シャンプー。

浴槽をまたぐ動作。

濡れた足。

転倒につながる条件がそろっています。

消費者庁も、

手すりや滑り止めマットの設置

を勧めています。

浴槽から出るときに、

「昔より少し不安定になったな」

と感じるようになったら、それは重要なサインです。

「まだ手すりは必要ない」

と我慢する必要はありません。

手すりは、転んでから付けるものではなく、

転ばないために付けるもの

だと思った方がよいでしょう。


対策④

段差とカーペットを確認する

玄関。

廊下。

和室と洋室の境目。

庭へ出るところ。

こうした場所には小さな段差があります。

段差そのものをなくせない場合は、

段差解消スロープ

を利用する方法があります。

階段や玄関には、

手すりや滑り止め

を設置する方法もあります。

そして意外に危ないのが、

カーペットやマットの端

です。

端がめくれていないか。

滑って動かないか。

一度確認してみてください。


対策⑤

夜のトイレまでの道を明るくする

70代になると夜中にトイレへ起きる人も多くなります。

眠い。

暗い。

急いでいる。

立ち上がったばかりでふらつく。

この状態で歩くことになります。

廊下や足元に、

人感センサー付きの足元灯

を設置するのも一つの方法です。

明るすぎる必要はありません。

床と障害物が分かる程度でも役立ちます。


対策⑥

「立ち上がる瞬間」を急がない

今回の消費者庁の事例では、

ソファから立ち上がったときにバランスを崩して腰椎圧迫骨折

となった70代の人がいました。

立つ。

歩き出す。

方向を変える。

こうした体勢が変わる瞬間に転倒することがあります。

椅子やソファから立ったら、

すぐ歩き出さず、一度姿勢が安定してから歩く。

夜中にベッドから起きたときも同じです。

慌てて立ち上がらないことです。

近くに安定した手すりなどがあれば、しっかりつかまります。


対策⑦

足の筋力を落とさない

家の中を片づけるだけでは十分ではありません。

もう一つ大切なのが、

自分の身体を維持すること

です。

消費者庁も、個人に合った適度な運動を続け、身体機能の低下を防ぐよう呼びかけています。

歩く。

椅子から立つ。

階段を上る。

こうした日常動作にも脚の筋肉が使われています。

特別な運動を始めなくても、

毎日少しでも身体を動かす

ことが大切です。

ただし、持病や膝・腰などに問題がある人は、無理な筋力トレーニングをせず、医師や理学療法士などに相談してください。


「転んだことがある人」は特に注意

一度転倒した人は、

「たまたま転んだだけ」

で終わらせない方がよいでしょう。

なぜ転んだのかを考えてみます。

コードにつまずいたのか。

足が上がらなかったのか。

立ち上がったときにふらついたのか。

暗くて見えなかったのか。

滑ったのか。

原因が分かれば、次の転倒を防ぐ対策ができます。

転倒を経験したこと自体が、

身体や住環境を見直すサイン

と考えた方がよいと思います。


こんな変化があったら要注意

最近、

「何もないところでつまずくようになった」

「歩く速度が遅くなった」

「階段が以前よりしんどい」

「椅子から立つとき手を使う」

「片足で立つのが不安定になった」

「外出する回数が減った」

という変化はありませんか。

こうした変化が重なってきたら、筋力やバランス能力が低下している可能性があります。

自治体によっては、

転倒予防教室や介護予防教室

などを行っています。

利用してみるのも一つの方法です。


転倒したら「立てるから大丈夫」と決めつけない

高齢者の場合、転倒直後は歩けても、あとから痛みが強くなることがあります。

特に、

頭を強く打った

強い頭痛や吐き気がある

意識がおかしい

股関節や腰に強い痛みがある

立てない・歩けない

手足が動かしにくい

といった場合には、速やかに医療機関への相談や救急要請を考える必要があります。

「恥ずかしいから」

「家族に心配をかけたくないから」

と我慢しないことです。


家族が帰省したときにも確認してほしい

離れて暮らしている高齢の親がいる人にも、ぜひ確認してほしいと思います。

久しぶりに実家へ帰ったとき、

「最近、歩くのが遅くなったな」

「部屋に物が増えているな」

「浴室に手すりがないな」

「廊下が暗いな」

と感じることがあるかもしれません。

それは住環境を見直すチャンスです。

本人は毎日見ているため、危険に気づかないことがあります。

家族だから気づける危険もあります。


70代の転倒予防は「家+身体」の両方

転倒予防というと、

「筋力をつけましょう」

と言われることが多いですが、それだけではありません。

筋力が十分でも、床にコードがあればつまずきます。

逆に家を完璧に片づけても、脚の筋力やバランス能力が大きく低下すれば転倒する可能性があります。

だから重要なのは、

住環境を安全にすること

と、

身体機能を維持すること

の両方です。


今日、10分だけ「転倒チェック」をしてみよう

この記事を読み終えたら、10分だけ家の中を歩いてみませんか。

見る場所は、

寝室 → 廊下 → トイレ → リビング → 浴室 → 玄関

です。

床に物はないか。

コードはないか。

カーペットはめくれていないか。

暗い場所はないか。

滑る場所はないか。

つかまる場所はあるか。

たった一つ危険を取り除くだけでも意味があります。


まとめ

家の中だから安全、とは限らない

消費者庁が今回紹介した事故は、

浴室で滑る。

コードにつまずく。

ソファから立ち上がってバランスを崩す。

庭へ出る段差につまずく。

という、どこの家庭でも起こりそうなものでした。

70代になったら、

「転ばない自信」より「転んでもおかしくない場所をなくす」

ことの方が大切なのかもしれません。

今日からできることは難しくありません。

床を片づける。

コードを壁際へ移す。

浴室に滑り止めを置く。

段差を確認する。

夜の通路を明るくする。

立ち上がるときに急がない。

そして、無理のない範囲で身体を動かす。

転倒は一瞬です。

しかし、その一回の転倒が骨折や入院につながり、その後の生活を大きく変えてしまうことがあります。

「まだ大丈夫」と思っている今こそ、転倒予防を始める。

それが、70代、80代になっても自分の足で歩き続けるための大切な準備ではないでしょうか。

※ 消費者庁の最新注意喚起では、対策として①段差への手すり・滑り止め、②浴室・脱衣所の滑り止め、③床やコードの整理、④立ち上がりなど体勢変更を慎重にする、⑤適度な運動を続けることを挙げています。 国民生活センターも、1~2cmほどの段差やカーペットの端、コードでも、筋力低下やすり足によって転倒につながり得るとしています。

※ 消費者庁「高齢者の家庭内での転倒事故に注意しましょう!」

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